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​小さなミラクル通信

守秘義務尊重のため内容は著者の経験に基づいた創作です

  • 執筆者の写真王丸典子

頭の中に住む母さん、さようなら

更新日:2021年2月27日


ある男性には10代の後半からずっと抱え続けている悩みがありました。それはなぜか女性と真剣な交際をすることができないということでした。これまで何度も一晩限りの女性経験はあるけれども、真剣に関係を築くような交際は、35歳を過ぎた今でも一度もないのです。


もっと若い頃はさほど気にならなかったのですが、周りの友人や兄弟も結婚して家庭を持つようになり、最近とみに焦りを感じるようになりました。しかしいろいろ考えてもあまりはっきりとした原因は思い当たりませんでした。


最初はいくら考えても理由を考えつかなかった男性ですが、カウンセリングを通して「自分の母」と何か関係があるのではと思うようになりました。なぜなら魅力的な女性と知り合いになると、まず男性の頭に浮かぶのが「この人のことを母はどう思うだろう」という心のつぶやきなのです。


母はとても強い性格の人で、男性はこれまで何をするのも母の発言を一番に尊重してきました。建築家になる為の大学選びや、卒業後のインターン先まで、母の意見でかなりの部分が決まりました。本当はカリフォルニアの大学に行きたかったけれど、母の意向でボストンの大学に進学を決めたほど、母の意見に逆らわずに今日まできました。


自分が好きだと思う人を母に紹介したら、きっと大変なことになるに違いない。その人が素敵な人であったとしても、母は必ず欠点を見つけ出すはずだ。そう考えると抑うつした気持ちになって、母がきっと言うであろう言葉が次々に頭に浮かんできます。これは自分自身の心のつぶやきというより、あたかも常に母が頭の中に住み着いているような状況です。


この気づきがあってから男性の中で母から解放されたい気持ちと、母の気持ちを裏切ることに対する懸念がかわるがわる浮かびました。子供の頃からの母の教えを断ち切って、自分が本当に望んでいる人生を歩む決意をするのは並大抵のことではありません。


一番重要だったのは、男性に自分に合った伴侶を見つけることは、母を裏切ることではないと納得してもらうことでした。次に行ったのは、頭に住み着いている母が穏やかに立ち去るイメージをしてもらいました。その時小声で「これからもずっと僕はお母さんを愛しています」と言ってもらいます。これを日に何度も繰り返すことをお願いしました。


カウンセリング開始から数か月、男性の気持ちはかなり安定しました。母に対する懸念がかなり薄れ、自分はどのような人と暮らしていきたいのかを冷静に考えられるようになりました。






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