• 渡部典子

悲しくて話せません・読書療法


70代のある女性を旦那さんが #心理カウンセリング に連れてきました。その人はもともとわりに呑気で明るい性格なのですが、最近どういう訳かふさぎ込むようになりました。家族にもはっきりとした原因はあまり考えられません。


一つ考えられるのは、近くに住む娘が最近仕事を始めて5歳と2歳の孫を毎日のように預かるようになった事です。しかし女性自身も孫は可愛くて、娘の事も助けたいと心から思っているようなので、これが原因かどうかはわかりませんでした。

女性はとにかく悲しいと言い、#うつ症状 がありました。自分や夫が段々年老いていくことも悲しいし、何十年も前に亡くなった一番下の娘の事も、最近考えることが多くなってつらくて仕方がありません。


このような場合は、なんでも心に浮かぶことを話してもらって、これまで知らないうちに我慢していたようなことを吐き出してもらいます。しかしこの女性は悲しすぎて話が出来ないと訴えます。


そこで、#読書療法 (#ビブリオセラピー)を行うことにしました。これはよく小さな子供など、会話を通してのカウンセリングが難しいような場合に多く使われる療法です。本などの文章をセラピストが読み、内容を話し合うことで社会ルールを学んだり気持ちを吐き出して、#心の安定 を図るものです。


この女性には聖路加病院の #日野原重明先生 の著書『#生き方上手』を使いました。面談のたびに少しずつ本を読み進めて、切りの良い所で女性に感想を述べてもらいました。


例えば「不幸には過敏、しあわせには鈍感」の章では、女性は「私もその通りです。下の娘は亡くしたけど、まだ上の娘が2人もいてとても良くしてくれます。それなのに何十年も前に死んだ娘を恋しがっても、自分や家族を不幸にするだけですね」と感想を述べました。


また「75歳になったら、晴れて新老人」の章をを読んだ時には「これはまさに私に向けられたメッセージですね」と、日野原先生の老人の「叡智を持って若い人達の手本になろう」という言葉に深く動かされたようでした。


この女性は読書療法を通して、多くの気づきがありました。普通のカウンセリングでは、話すことを通して考え方の見直しや新たな気づきをうながします。しかし中には気持ちが沈んで、とても話をする気になれない人もいます。そのような場合に是非試してみたい療法です。


また読書療法は、必ずしもカウンセリングの場でなくても行えます。齢を取って元気の亡くなった家族が周りにいれば、気に入りそうな本を一緒に読み意見を交換することで、老人の心が少し軽くなると思いますよ。


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