自己批判で起きる脳の変化
更新日:2021年2月26日
親が子供の弱点を指摘することで子供の可能性を伸ばそうとするのは、なぜでしょうか。
一つには昭和の高度成長期に浸透した「改善」の精神が、子育てにも影響したのではないかと思われます。それは悪いところや改善の必要なところに着目して、より良いものを作り出す姿勢でした。ところが子育ては相手が人なので、ものに対して功を奏した改善の精神の追及は、かえって自己批判を繰り返す人が育つ要因となりました。
そしてもう一つには、不安感から親が子供を信じられないということが、理由の場合もあるでしょう。子供を信じるというのは、運を天に任せる必要があり、勇気のいることです。
日々の子育ては、それ自体が忍耐と努力を必要とするストレスの多いつとめです。
しかしそれ以上にストレスを感じるのは、子供がいったいどのような大人になるのかわからないこと、すぐに結果がないことです。
人が一番不安を感じる状況は、「答えが出るまで」、あるいは「結果を見るまで」の「待ち」の期間です。
その期間に勇気をもって子供を見守るには、かなりの忍耐力が必要です。
親や周りから「ここがまだダメだね!」とか「なんでこれが出来ないのか」などの言葉を長年言われ続けると、次第に自分に対して浮かぶ思いや、とっさに出る言葉も同じようなものになります。
自分に対するネガティブな言葉がけが脳に与える変化
「自分にはできっこない」、「どうせダメだよ」などの言葉は、体にどのような影響を及ぼすのでしょうか。
脳神経学者のキャンディス・パート(Molecules of Emotion著者)は、長年にわたり脳の伝達物質と感情に関する研究を行いました。
パートの研究によると、思考や感情によって、神経伝達物質の分泌が促されることが明らかになりました。
神経伝達物質の分泌は、人が感じる幸福感や満足感、気分、そして身体機能に至るまで影響を及ぼすと結論づけています。
またノーマン・ドイジは、著書The Brain That Changes Itselfの中で、「我々が何を考えるかによって、脳そのものの機能や構造に変化が起きる」と述べています。
つまり自分に対するネガティブな思考や感情は、その感情が継続するような、また身体機能の低下に繋がるような変化が脳内で起きるということになります。
★過度な自己批判は脳内機能や構造にまで影響がでる
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