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​小さなミラクル通信

守秘義務尊重のため内容は著者の経験に基づいた創作です

執筆者の写真王丸典子

テディベア セラピー

更新日:2021年3月6日


初めてカウンセリングルームに連れて来られた時、5歳のディビッドは警戒心に満ちた表情でチラッと私のほうを見たあと、下を向いて鼻歌を歌ってました。その顔は怒っていて、なんでこんなところに連れてくるんだと訴えているようです。


ディビッドが幼稚園で友達を叩くようになったのは、義理のお母さんが赤ちゃんを産んだ直後からでした。今では大好きな実のお父さんも、可愛い生まれたばかりの妹に関心を向けています。お父さんと義理のお母さんが結婚する前は、よくお父さんと海岸に行ってフットボール遊びをしたのに、今ではそんなこともすっかりなくなりました。


ディビッドは家で自分の居場所を見つけられず、とても傷ついていました。そんなディビッドが心を開くには、少し時間がかかりました。私もどういう方向でカウンセリングをしたら心を開いてもらえるか試行錯誤です。


プレイセラピー(アートセラピーも含む) という遊びながらのセラピーを何週間か続けました。一緒に絵を描いたり、ゲームをしたりです。そうしながらディビッドが気持ちを吐き出せるように話しかけます。


ある時はディブの描いた車の絵に、私が天使の羽根を描き加えるとディブは「車に羽根なんて変だよ、やめてくれよ~」と嬉しそうに叫びます。そして

車の絵が描いてある紙の端っこを持ち上げて、ブーンと飛んでいくようなしぐさをします。


そしてある日、粘土細工を一緒にすることになりました。するとディビッドはいろいろな粘土の型抜きの入っている箱から、テディベア型を見つけて夢中になって作り始めました。様々な色でいくつもテディを作っていきます。


そこから毎週テディベア を作るのが、ディビッドと私の共同作業になりました。だんだん何色ものテディの数が増えてくると、ディビッドのまん丸のほほがピンクに染まって嬉しそうです。そのころからディビッドはいろいろなことを話してくれるようになり、問題行動も次第に少なくなっていきました。


アメリカの子供にとってテディベアは、特別な癒し効果 があります。ディビッドの心の傷は、テディ作りを通して次第に癒えていきました。


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