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​小さなミラクル通信

守秘義務尊重のため内容は著者の経験に基づいた創作です

  • 執筆者の写真王丸典子

ねこの結石が消えた?



8月は長年家族の一員として暮らした猫たちが虹の橋を渡った月で、感謝の気持ちと共に懐かしくネコたちのことを思い出します。

マーキーはアメリカンショートヘアの雄ネコでした。大きな体に似合わず、呑気で優しい性格で、ストレスのたまりがちな私のアメリカ生活を支えてくれました。


ネコが尿路結石や腎臓結石を患うことはよくあることですが、ある時マーキーも結石の症状が出ました。

食べるのが大好きだったのに食欲が減り、どうしたのかなと思っていたら、鳴きながら部屋をウロウロするようになったのです。


驚いてペットクリニックに連れていくと、見せられたレントゲン写真には複数の結石が写っていました。そして先生は手術で結石を取り除くしかないと言われます。

痛さを訴えたくても、鳴きながら歩くことしかできなかったのかと思うと、かわいそうで涙が出ました。


あいにくペットクリニックが混みあっていて、手術は一週間後になりました。薬で痛みはかなり和らいだようですが、お腹を切られるかと思うとかわいそうでたまりません。

手術の日まで、毎晩マーキーのお腹をなでながら「どうぞ結石が消えますように」と、長いこと天にお祈りしました。

普段は信心深いわけでもないのに、困ったときの神頼みとはこのことです。

いよいよ手術の日が来ました。仕事の前にペットクリニックにマーキーを預けて、夕方迎えに行くことにしました。

ソワソワしながら仕事をしていると、ペットクリニックから電話がかかってきました。

「マーキーの結石を手術前にもう一度レントゲンで確認しようとしたのですが.........

複数あった結石が一つも見当たらないのです。」

「えっ!なんですと!!結石が無くなった。私も先日レントゲン写真を確認しましたが.....」

「そうですよね。他のネコの写真をお見せしたとは考えられませんし。とにかく結石がない以上手術はできないので、今日はこのまま後程迎えに来てください。」


電話のあと呆然としながら職場の仲間に事情を話すと、

「何か日本式のおまじないでもしたの」と、ハーバード大出身のアメリカ人上司が笑いながら聞いてきます。

「日本式かどうかわかりませんが、毎日お腹をさすりながらお祈りしました」というと、有能な科学者でもある上司は真顔で、

「科学で説明できない不思議なことって、時に起きるよね。君はもしかしたら治癒能力があるのかもしれないよ」と、言うではありませんか。


その後もマーキーは結石を再発することもなく、2014年の8月に15歳で亡くなる直前まで元気に過ごしました。

いまだになぜ結石が消えたのかわかりません。しかし私に特殊な能力があるわけではないのは明らかです。

でも、もしこの時だけ祈りが天に届いたのだとしたら、唯一考えつく理由は、マーキーと私の間の無償の愛だったかもしれません。


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