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​小さなミラクル通信

守秘義務尊重のため内容は著者の経験に基づいた創作です

  • 執筆者の写真王丸典子

あなた清掃員の仕事とったらダメですよ!


これだけ国際社会になると、国や文化が変わると随分考え方が違うものだと実感することも増えると思います。


自分の生まれ育った文化においては善行でも、異文化においては疎まれることもあるんですね。





私もアメリカで生活していたころは、良かれと思ってしたことでビックリされたり反感を買ったりしたことが何度もありました。


その反対に日本人の価値観で「こうあるべき」と思っていると、人々の全く違う行動に驚くやら、腹が立つやらということもあります。


日本人女性マリさんは旦那さんの転勤で、ロサンゼルスで暮らしていました。この機会を利用して英語をマスターしようと考え近くの英語学校に行き出しました。


この学校には全世界の国々からたくさんの生徒が来ています。


とても楽しい学校生活で先生たちとも仲良くなり有意義な日々でした。ところがある時文化の違いをまざまざと感じることがありました。


その日は皆で食べ物を持ち寄るポットラック・パーティーがあり、生徒がそれぞれの国の名物料理を持ち寄りました。


パーティーは大成功。マリさんも「こんな楽しい事長い事なかったな」と感じながら、目の前にあるゴミの山をかたずけ出しました。そう言えば日本人のあと片付けの良さは、サッカー観戦の日本人観客で話題になったことがありましたね。


マリさんも日本人精神を存分に発揮して一生懸命かたずけていると、先生がやって来て "That's good enough, Mari. You shouldn't steal a janitor's job. マリ、もういいわよ。清掃員の仕事奪うべきじゃないわ" と言うではありませんか。


英語がまだそれほど堪能でなかったマリさんは、意味を理解するまでにしばらくかかりました。しかし理解した後は「えーっ、ウソでしょ。きれいにした方がお掃除のおばさんがあとで楽なのに」とすっかり憤慨し、いつも立派だと思っていた先生の人柄さえも疑う気持ちになりました。


またある時、ちょっと風邪気味でしたが無理を押してクラスに行きました。日本であれば少しくらいの風邪を引いていても出社したり登校したりすると、褒められることもあるでしょう。


ところが先生から「マリ、あなたは日本人の勤勉さで今日は病気を押して出てきたのね。でも、アメリカではそれは無責任なことなのよ。もしあなたの風邪が他の人に移ったらどうするの。アメリカでは病気の時は家にいて、治すことに専念するのが責任ある行為なの」と優しい声で諭されました。


外国生活を経験した多くの日本人と同じように、マリさんも異文化の中で時折違いに驚きながら、日本に住んでいるとなかなか無い経験を積みました。


自分の価値観を保ちながら異文化の人々と良い関係を築くのは、面白くもあり苦労もあります。

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