• 王丸典子

再認識!認知行動療法のパワー

最終更新: 2018年2月10日


ある時出版編集者と話していると「いまは認知行動療法あんまり人気ないんですよ。最近はアドラーブームだから、認知行動療法はすたれてしまいましたね」と言うので驚きました。


それはちょうど #アドラー 本ベストセラー「#嫌われる勇気」が大人気の頃でした。その時私は30年のアメリカ生活を終えて日本に帰国したばかりで、心理療法の一つである認知行動療法が人気がないということがどういうことかよく分からなかったのです。


ご存知の方も多いかと思いますが、#認知行動療法 (#CBT, Cognitive Behavioral Therapy) の治療効果は長年に渡り報告されており、特にアメリカでは最も広く一般的に用いられている療法です。


認知行動療法は軽度の精神疾患には投薬よりも有効であるという研究結果は、アメリカの精神医療の現場では良く知られています。私も公認サイコロジスト免許の試験勉強していた頃は、インストラクターから認知行動療法の有効性を繰り返し教えられたものです。 


私が専門的に使う療法は #統合心理学療法 というもので、これはクライアント特有の症状や性格などに合わせて、様々な療法を組み合わせカスタムメードの治療を行うものです。認知行動療法は、通常その中の重要な部分を占めています。 


認知行動療法を簡単におさらいしましょう。何かの出来事や経験に対して意識するしないに関わらず、我々はその出来事を解釈しようとします。その解釈の基になるものが自分特有の考え方、固定観念や信念です。ところが自分特有の考え方には往々にしてゆがみがあり、それが葛藤や悩みを引き起こす原因になるのです。


認知行動療法の基本~クルッと視点を変えれば楽になる~


ある日本女性は外国人の夫としばしば意見の対立で喧嘩になります。主な原因は #文化の違い に起因する考え方の相違です。例えば女性は日本文化に基づいて周りの人に気を使いますが、夫にはその必要性が理解出来ません。すると女性は夫のことを非常識と思いやるせない気持ちになります。夫はそんな女性を神経過敏だと考えて腹が立ちます。


このような場合双方が自分たちの間にある文化の違いを認識し、お互いの視点から問題を考えてみると見方が変わり気持ちが楽になります。物事を理解したり受け入れたりすると、これまでイヤだと思っていたことが出来るようになったり、気持ちが穏やかになったりします。


認知行動療法は従来の行動や思考のパターンを認知し、そこに変化を持たせることで感じ方や行動を望ましいものにする大きな効果があり、#うつ病#不安症#PTSD#チック#薬物依存#摂食障害#アンガーマネジメント など幅広い症状に効果が認められています。


最近の研究によると認知行動療法を継続的に行っていると、脳の中の #偏桃体 の活動が、早ければ数週間で穏やかになってくることが発表されています。偏桃体は記憶や意思決定、また物事に対して感情的に反応する機能をつかさどっています。


フロイトの流れをくむ精神分析療法などと違い、認知行動療法は比較的短い期間で成果が出ることも広く知られています。


しかしこれはどのような療法にも言えることですが、認知行動療法は万人に有効ではありません。認知行動療法における一番のチャレンジは、その人が自分特有の考え方や感じ方を見直すことが出来るかどうかです。


これには自分を見つめる #内観力 が必要ですが、いろいろな理由で不可能な場合があります。例えば小さな子供はまだ内観能力が育っていませんし、重いうつ病で考えることが非常に億劫な人にも荷の重い作業です。


出版界では昨今人気がないそうですが、心理治療の現場では確実に成果を上げているとても有効な療法ですので、心理セラピストの私としては是非応援したいところです。

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