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​小さなミラクル通信

守秘義務尊重のため内容は著者の経験に基づいた創作です

天国に行ったブディ


数年前にディジーは6歳の一人息子ブディを亡くしました。#シングルマザー の彼女は、その時ブディを母親に預けてジャカルタに出稼ぎに行っていました。


2004年12月26日 #スマトラ島沖大地震 が発生しました。22万人の命を奪ったこの大災害は、震源地に近いデイジーの生まれ故郷の村を壊滅し、大津波はディジーの家族すべてを呑み込みました。


ジャカルタにいて難を逃れたディジーは、天涯孤独になりました。命は助かったものの、皆と一緒に死んだほうが良かったと思うほどの心痛を感じていました。#心理カウンセリング を受けるうちに時が経ち、ナイフで刺されるような心の痛みは少しずつ軽減されました。


しかし心にポッカリと開いた穴は、何年間もどうしても埋めることが出来ません。そのころ出会ったアメリカ人男性のエリックが、次第に心の支えになりました。やがて2人は結婚して、エリックの故郷アメリカの #サンディエゴ に移り住みました。


ディジーはブディのことはほとんどしゃべりませんでしが、エリックは彼女の悲しみを感じ取っていました。そして何とか少しでもつらさを和らげることは出来ないものかと考えていました。


ある週末、エリックはディジーを海を見に行こうと誘いました。ディジーは体調が悪く乗り気ではなかったのですが、素直に従いました。20分ほどのドライブで着いた場所は、太平洋が眼下に広がるとても美しい公園でした。


所々にベンチが置かれていて、その一つひとつに故人を偲ぶ小さなプレートが付いています。すると先に歩いていたエリックが、こっちに来てこれ見てごらんと呼んでいます。なんとそのベンチには "In Loving Memory, Budi Kaban, May 13, 1998 - Dec 26, 2004"と刻まれていたのです。


その瞬間ディジーの心に大きな変化が起きました。「これまでお墓もなくブディの御霊に参ることすらできなかった。これからはここに来きて太平洋を眺めながら、ブディが天国で安らかであるよう祈れます。」


この時から少しずつ、心の中でブディが天国に旅立ったと受け入れることが出来るようになり #うつ症状 もほぼ完治しました。


大津波から7年後のことでした。

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