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​小さなミラクル通信

守秘義務尊重のため内容は著者の経験に基づいた創作です

  • 執筆者の写真王丸典子

ネコの応援歌


元来怠け者で根性なしの私が、何を間違ったか #アメリカの大学院 に行き、カリフォルニア州の #サイコロジー免許 を取る羽目になったかは、今考えても不思議です。そのいきさつはまたの機会にするとして、これはサイコロジー免許取得の最終試験日に起こりました。


その日は午後1時からの試験のため、ざっと問題集を見直したり、気持ちを落ち着けるために20分の呼吸法を行ったりして、出かけるまで過ごしました。


そのように時間を過ごしていると、いろいろな感情が去来します。この試験に受かればもう一生こんなに勉強する必要もないなとか、なんで私が外国でこんなことをしているんだろうとか。大事な試験の朝にあまり役に立たないものばかりです。


そうこうしているうちにやっと出かける時間が来ました。いよいよ「いざ出陣!」です。すると昼間はいつも二階のタオル用の戸棚の中で寝ている老猫たちが、二匹で階下に降りてきました。そして少し離れた所からじっとこちらの顔を見ています。声をかけたわけでもないのに、どうしたんでしょう。


不思議だと思いながらも、緊張している私はあまり気にもとめずに、こちらを見ている猫たちに向かって「お母さんは今日の試験に受かって帰ってくるからね」と声をかけました。すると二匹ともすごい形相でニャ―ッと叫びながら猛ダッシュで私の足元まで飛んできました。猫たちの気合の入った表情と叫び声はまさしく「鬨の声」そのものでした。そして #ネコの応援歌 を背後に、試験会場へ向かいました。


その猫たちもこの写真撮影から数年後にそれぞれ天国に行き、今となってはとても懐かしい思い出です。それにしても猫たちはその時いったい何を感じていたのでしょうか。


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