イメージ療法とプラシーボ効果
更新日:2021年3月3日
イメージ療法と プラシーボ効果 には深いかかわりがあるように思えます。プラシーボ効果とは 偽薬効果、本来の成分が入っていない薬を使った場合においても治療効果が上がる現象ですね。何らかの理由で体にひどい痛みを感じている患者に対し、医師がモルヒネの多用を懸念して、替わりに水注射を与えることは珍しくないそうです。
モルヒネ注射を受けたと思っている患者は、水注射によっても痛みの軽減が起こるというのは驚きです。プラシーボ効果のメカニズムは現在のところはっきりと解明出来ていませんが、研究者は人間の持つ期待感や信じる力が改善に大きく係っているのではないかと述べています。
とてもに興味深いのは、たとえ患者が処方された薬が事前に偽薬だと知らされたとしても、効果の出る場合があるということです。ハーバード大学の 過敏性腸症候群(IBS)を患う患者対象に行った研究では「これは偽薬ではあるが、もしかしたらあなたの内なる自然治癒力を促すかもしれない」と伝えたところ、研究に参加した人の6割以上の患者に症状の改善が見られたのだそうです。
偽薬であることを知っているにせよ知らないにせよ、患者は処方された薬で苦痛が取り除かれることを期待します。また信頼を置いている医師から 自然治癒力の説明を受けることで、それを信じる気持ちも生まれる。このような状態が患者の症状緩和につながるのではないかとハーバード大学の研究は結論づけています。
何かに対し期待感や信ずる気持ちを持つ時、人は頭にイメージを浮かべるのではないいでしょうか。慢性疼痛患者は薬が痛みを取り除いていく感覚を思い浮かべるであろうし、6月6日付けのイメージ療法実例に出てきた抑うつ感を持った男性は、カウンセラーの導きで俯瞰のイメージで得た解放感から回復への期待を持ったことでしょう。
プラシーボ効果も イメージ療法 も、それを受ける人の期待感や信ずる気持ちが好結果をもたらすとすると、当然結果に大きな個人差が出ることが予想されます。
イメージ療法 実例
サイモントン医師は、癌患者に次のイメージをするよう促した。
孤立し弱っているがん細胞を、健康で且つ攻撃的そして免疫性の高い細胞が破壊しているイメージだ。
患者によりイメージはまちまちで、騎士が馬に乗り敵をやっつけているところや、狂暴な犬が肉片を貪っている様子などだった。
このイメージ療法を用いることでがん患者に著しい効果をもたらした。
イメージの種類や正確さよりもむしろ患者がどのくらい一生懸命イメージを繰り返したかにより好結果がもたらされた。
その後サイモントン医師によりイメージ療法を用いて癌患者を治療する サイモントンメソッド が確立されました。
参考文献
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