• 渡部典子

ごめんなさいが言えなくて


私が #心理学の大学院生 だったころ、あるクラスでこんな課題がありました。それは「これまでに自分が他の人にしたことで、#謝罪の機会 がなく気になっている事柄を書け。相手に伝えたいことは何か。また相手はそれに対してどのような反応をすると思うか」と言うものでした。


この課題にあるような作業は、#心理カウンセリング においてもよく行います。心にしまってある解決出来ていない事柄を文章や口頭で語ることにより、その事柄を少しずつ消化するのを助ける目的です。


課題を与えられた時は何も浮かばなくて、数分いろいろと思いを巡らしていました。するとしばらくして私が高校生だった頃に祖母に取った態度が頭に浮かびました。この祖母はあっぱれなPPKのふじえおばあちゃんです。


それは私が高校3年生のことでした。私の高校へはおばあちゃんの住むJR赤羽駅を通過して通っていました。そしてある時おばあちゃんが私の母に届けたいものがあるから、赤羽駅で途中下車して改札口で渡したいと言ってきました。


今思い返すと当時私は相当 #ひねくれた高校生 で、毎日がつまらなくて #不機嫌 そのもの。なぜあのように不幸を一身に背負っているような気になっていたのか、今となっては笑っちゃうくらい全く理解に苦しみます。


ふじえおばあちゃんは大好きだったのですが、それとは関係なくひねくれ者の高校生はおばあちゃんの頼みに最初からムッとしてました。私はその頃、誰からも何も頼まれたくないモード全開だったのです。今もし私があの時の自分に遭遇したら、きっと好きにはなれないでしょうね。


そしてその日赤羽駅の改札口に向かいました。するとおばあちゃんが改札口の向こう側に満面の笑みを浮かべて「のんちゃ~ん」と手を振っていました。ところがひねくれ者の高校生は、おばあちゃんが渡そうとしている荷物の包み方が今度は気に食わず、ものすごく嫌味な表情でそれを受け取りました。そして言葉はほとんど発しませんでした。


その時の自分の気持ちは「こんな変な荷物ぶら下げて歩きたくない」でした。そしておばあちゃんはちょっと悲しいそうな「どうしたんだろう」という表情で、私を見つめていました。本当にひどいですよね。これを書いていても、自分のことながらひねくれ者高校生に腹が立ってきます。


しかしその後このことを話す機会もなく、おばあちゃんはそれから4年後に亡くなりました。そして私はすっかりこの日のことは忘れ果てていました。


謝罪の気持ちを表す作文


謝罪できなかった事柄を書く

しかし #人間の記憶 は面白いものですね。この課題に頭を巡らせていた時、あの日のおばあちゃんと私の表情や、赤羽駅の人込みや匂いまですべて脳裏によみがえってきました。するとどこから出るのかと思うほど、大量の涙があふれて止まりませんでした。


おばあちゃんに伝えたい事を書く

泣きながらおばあちゃんへの #謝罪の言葉 を書きました。

「あの時なぜあのような態度をとったのか理解に苦しむが、本当に申し訳ありませんでした。ごめんなさい」


それに対するおばあちゃんの返答を書く 

これは想像で書けということでしたが、頭にどんどん祖母の言葉が浮かんできて、あまり想像で書いているような気はしませんでした。


「そんなこと気にしなくて良いよ。ああいう態度は悪かったと気づけるような人になれて良かったわ。良くやってるよ。これからも頑張って」


この作文を書くことで心の底にしまわれていた祖母への気持ちが表面化し、謝罪を文章にすることで気持ちの整理が出来ました。また想像で書いた祖母の私への返答も多分大きく外れてはいないと思います。この作業を通してこの出来事に対し、私なりの終止符を打つことが出来ました。


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