ディスカウントストアで料亭の扱いを受ける!
#話し方 って重要だというのは昔からよく耳にすることですが、ある時つくづくその思いを強くしました。
私は母のマンションからほど近いディスカウントストアを時々のぞいてみます。これがディスカウントストアを絵に描いたような店で、店内の照明は暗く期限切れ間近の商品が雑然と積み上げられています。
その日訪れた時も特別何か買いたいわけではなかったのですが、何か掘り出し物でもないだろうかと店内を物色していました。そして2-3点商品を選びレジに行きました。
すると私の前の客と話している女性店員の応対が聞こえてきました。その時私のリアクションは「え、ウソでしょ!」でした。なぜかと言うとその店員の話し方や物腰が、いわゆる普通のディスカウントストアの店員とは全然違っていたからです。
耳をそばだてて聞いていると、その人の話し方はただ丁寧なだけではなく、#心地よい響き があるのです。それはまるで格式の高いホテルやデパートで働く熟練した接客プロのような話し方なのです。それでいて全く押しつけがましくなく、しいて言うなら高度な会話技術といった印象です。
その女性店員の外見はかわいらしい感じで、年齢は二十代後半か三十そこそこ、特に派手な美人という訳ではありません。でもこんな魅力的な話し方をする人が、なぜディスカウントストアで働いているんだろう。オーナーの娘だろうか。磨けば一流料亭の女将だって出来そうだわ。と、順番を待っている間私の妄想はど~んどん膨らみます。
そして私の番が来ました。その人は「...が一点、.....が一点」と、かごの中の品物を計算していきます。あれ、この心地良さの原因は何だろうと思いながら続けて聞いていると「千円お預かりいたします。(間) ありがとうございます。」と言う時の行間の(間)が原因と気づきました。丁寧な話し方も身についていて、ファーストフードの店員がマニュアルを覚えたのとは全然レベルが違います。
そしてふ~んと感心している私に、その人は「お品物とおつりでございます。(間)お暑いのでお気をつけてお帰り下さいませ」と趣ある言い方でポリ袋を渡してくれました。
中身はポテチとサキイカです。その時女性店員は、薄暗い店の中でとても輝いて見えました。
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