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​小さなミラクル通信

守秘義務尊重のため内容は著者の経験に基づいた創作です

  • 執筆者の写真王丸典子

墓じまい


85歳になる女性が出身地にある墓の墓じまいを希望しています。

若い頃に離婚しずっと一人を通してきた人生ですが、85歳になり体の動くうちに先祖のお骨を、今住む町の寺にある合葬墓に移したいというのです。

そうしないと自分から二代程あとの世代になると、この墓は確実に無縁墓になると女性は考えているようでした。

そしてそう遠くない将来、「自分も合葬墓に亡き父母や兄弟と入りたいんです」。そのように言う女性の表情はとても安らかなものでした。


自分の行く末を決める

「死は人生の一部である」という人もいます。しかし本当のところ、われわれ凡人には死後のことはよく分かりません。

シニアの中には死について考えるだけで、鬱々としたり不安で眠れない日もあるという人もいます。

どうなるのか分からないという状態は、人間に最も強い不安感を与えます。

死とは私たちが経験することの中でも、一番どうなるか分からない事柄ですね。

しかし少なくとも死後自分がどのように埋葬されるかの準備をすることにより、心が安らぐのかもしれないと、この女性と話しながら考えました。


墓じまいも時間のかかる場合がある

墓じまいをする決意をして心が落ち着いた女性ですが、そのプロセスはそう簡単ではなさそうでした。

まず故郷の菩提寺に相談してみると、思いのほか経費が掛かることが分かりました。

そしてその墓に入っている故人の生存家族全員の合意を得る必要があることも、その寺から告げられました。

その人々の中には、何十年も疎遠になっている親戚もいて、所在を調べるだけでも85歳の女性にはかなり難しい事でした。

女性が墓じまいを完了するまでには大分ストレスや苦労が予想されますが、焦らず一つひとつのプロセスを行っていくことしかないと女性は納得されたようでした。

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