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​小さなミラクル通信

守秘義務尊重のため内容は著者の経験に基づいた創作です

  • 執筆者の写真王丸典子

目の前のことをやるしかないでしょう


68歳の美佐子さんは閑静な住宅街に夫と二人で住んでいます。車で5分のところ住む長女には、二番目の子供が生まれたばかり。毎日のように手伝いに行くのが日課です。長男も最近結婚し独立しました。


また美佐子さんは、介護福祉士として長年の顧客のケアも行っています。介護福祉士になったきっかけは、舅、姑そして自分の両親の計4人を、長年に渡り介護したことでした。


家族を介護してみると、介護をすることから自分は生きがいを感じると悟ったのだそうです。そして他人を介護するには、専門知識が必要であると勉強を始めたのが50歳のころでした。


仕事柄シニアと接することが多かった美佐子さんは、60歳になることに特に抵抗はありませんでした。


明るくて社交的な性格で趣味や友人との会合もしばしば持っています。この生活は子供が大学生になり手が掛からなくなった40代後半からあまり変わっていないそうです。


健康には気を付けていて、もう20年以上週2回の運動は欠かせません。

食事も高タンパクで低脂肪を心がけていて、今年71歳になる夫とともに近くの病院で人間ドックを毎年受けることも続けています。

このような努力の結果、美佐子さんの外見はとても若々しく溌剌としています。


もう一つの趣味がここ10年ほど続けている俳句で、同好会のメンバーであり、定期的にある会合にも欠かさず参加しています。


作句を通して身の回りの情景や状況を客観的に見つめる目が養われ、こころの安定が保てるのだそうです。


美佐子さんの望みは、今の生活が出来るだけ長く続くこと。そして家族みんなが平安で、大きな心配事がない生活だそうです。


平凡な生活だが、平凡を実現しようと思っても難しい場合もあります。だから平凡が保てるというのは、何よりの幸せだと美佐子さんは言います。


自分を評して「もともと心配性じゃない」という美佐子さんですが、それでもこれから先どうなるかと、ふと不安になることもあるそうです。

体の老いや、病気も考えれば気になるし、生活に不可欠な車の運転も、何歳まで続けることができるでしょうか。


考えれば山ほど気に病む材料はあります。

でも「目の前にあることを、一生懸命やるしか選択肢はないから」と、深い言葉をサラッと明るく言う美佐子さんの表情は、晴れ晴れとしています。

★目の前にあることを一生懸命やるしか選択肢はない

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