​小さなミラクル通信

守秘義務尊重のため内容は著者の経験に基づいた創作です

キキョウのつぼみをつぶす娘

最終更新: 3月27日


秋の花とばかり思っていましたが、#キキョウ は夏から9月ごろまでが開花時期のようですね。花びらは青紫の星形でなんとも楚々とした風情です。子供の頃に家の庭に咲いていて、母が切って花瓶にさしていたように思います。


とてもきれいな花ですが、当時3歳位だった私にはその有難味は分からなかったのでしょう。いつも遊んでいる庭に咲くお花くらいの感覚だったと思います。開花すると青紫の花ですが、つぼみのうちは薄緑色の花びらがピタリとくっつき合って、風船のような形をしています。


そしてある時その風船が、いたずら好きの3歳児の目に留まりました。手でそっと触ってみるとなんだかフカッとしています。もう少し指に力を入れると、ポンと音を立てるような感じではじけて風船が割れました。


その風船が指先で割れるような感覚がなんとも心地良くって、3歳児は次から次へとつぼみを割っていきました。そしてほとんどのつぼみをつぶし終えた頃、母が庭に出てきました。

最初の母の言葉は全く覚えていません。でもそのあとで「もうこれでキキョウは咲けなくなっちゃったのよ」と悲しそうに言ったのをぼんやり記憶しています。


そしてその時やっと、あの薄緑の風船が青紫のお花になるんだということが分り、私はワーッと泣きだしました。なんだかすごく悪いことをしたようで、とても苦しくなりました。人生初の「#後悔」を経験した瞬間でした。


その年、もう新しいキキョウの花は開きませんでした。キキョウはいったいどうなったのでしょう。庭でそれ以降その花を見た記憶がありません。


しかし今でもどこかでキキョウを目にすると、あの時の何ともしがたい思いがうっすらと胸に浮かんできます。


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プロフィール

米国・カリフォルニア・スクール・オブ・プロフェッショナル・サイコロジーで、心理学修士号及び心理学博士号取得。カリフォルニア州公認サイコロジスト。アメリカ心理学会正会員。アメリカ軍契約サイコロジスト。

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