比べると楽になることもある
更新日:2018年2月8日
良きにつけ悪しきにつけ、人は自分と他を #比較 しながら暮らしています。競争に勝てば優越感に浸ることもあるでしょうし、戦乱の地で逃げ惑う人達を見てわが身の幸せを改めて確認する場合もあります。
昨年亡くなられた #日野原重行 先生が著書の中で患者さんを励ます時に、他の人との比較を例にすると述べています。例えば病状思わしくなく苦しんでる患者に、これまでに診た中で一番ひどい例を出して、「あなたはまだ良い方ですよ」と伝えます。
日野原先生は「人との比較で助けるというのはちょっと姑息なやり方かもしれないが、人間は元来自分と人を比較して存在意義を認識する動物なので、この方法で患者の心が軽くなるのであれば間違ってはいない」と考えてのことだそうです。
心理カウンセリング においてもクライアントさんの心を軽くしたり、気づきを促す目的で時々この方法を用います。
ある女性が13歳の娘の反抗的な態度にすっかり参っていました。娘は11歳頃までとてもおとなしい素直な子でしたが、このところ急に自我が目覚めて自分を主張するようになり、毎日のように母娘のバトルが繰り広げられていました。
一方もう一人の女性の悩みは、27歳の息子が大学卒業後就職しても続かず、引きこもり状態になっていることでした。この人の息子は子供時代全く手がかからず反抗期もなかったそうです。この母親は「息子は気持ちを押し殺すことを続けた結果、#燃え尽き てしまったのでしょう」とため息をつきました。
二番目の母親の話をティーンエイジャーの母親にすると、それまで何とか娘の反抗的態度をねじ伏せようともがいていた自分を見直すきっかけになりました。
日頃意識せずにいますが、人間は絶えず他から影響されたり、自分と他を比較をしながら生活しています。それは必ずしも悪い事ばかりではなく、貴重な学びもあるのですね。
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