​小さなミラクル通信

守秘義務尊重のため内容は著者の経験に基づいた創作です

暇は大敵

最終更新: 2月26日


アメリカでは心理カウンセリングに保険が適用されるため、多くの人が気軽にそして頻繁にカウンセリングを受けます。


特に2月と9月は、毎年とても忙しい日々を送りました。




2月。クリスマスからお正月にかけての大騒ぎや里帰りの時期が終わると、相談に訪れる人の数がぐんと増えます。


主な相談は「クリスマス休暇で夫の実家に帰ったら、姑に散々嫌味を言われた」や、「年末年始はとても忙しかった。休暇も終わり日常生活に戻ったら、毎日寝られないんです」など。

そして9月。夏季休暇がすみ、学校の新年度が始まる時期にも相談が倍増します。


「子供の学校が始まってやっと生活が落ち着いた。でもなんだかまた気が滅入って」、


あるいは「夏の間は旅行をしたり海に行ったり、家族で行動する行事忙しかった。それが最近またむなしくて」といった相談です。


この人たちは一様に「普通の生活にもどり時間に余裕が出たら気持ちが沈んだ」ようです。これは興味深い現象ですね。気持ちや時間に余裕があるとストレスがなく、気持ちが上向くのではと思いがちですが、実際は逆なのです。


人は忙しくやりがいや生きがいを感じている時に、最も幸福感や満足感を覚える。カウンセリングに訪れる人達と話していると、これは本当のことだなとつくづく思います。


心を弱らす「暇」という状態

時間に余裕がありすぎると心の健康維持が難しくなるのはなぜでしょう。


毎日あたふたバタバタしていると、余計なことを考える余裕がありません。一方時間がありすぎると様々な雑念が出てきます。


「あーでもないこうでもない」と、気づかぬうちに要らぬことを考えます。


すると気持ちが次第に下向きに、そして気づいたころにはもう急降下の状態に陥る人も多いようです。


空の巣症候群のS夫人

S夫人は一人息子が結婚して独立して以来すっかり落ち込んでいました。そして口をついて出るのは、30年連れ添っている夫への不満ばかりです。


「夫は正真正銘の朴念仁で、結婚以来花一輪買ってくれたこともないんですよ。アメリカ生活も経験したのに、レディーファーストなんて考えてみたこともありません」


週に一度の面談では、上品な夫人の口元で罵詈雑言が炸裂します。


夫の朴念仁は昨日今日始まったわけではありません。ところがS夫人の夫への攻撃は息子が家を出てから急に始まりました。夫人はそこに気づいていません。

しかし転機はある日おとずれました。夫人は外国人旅行者向け案内所で、ボランティアを始めることにしてみたのです。

以前は息子がいるからとか、行きにくい場所だからなどと尻込みしていたのですが、始めてみると元来英語が得意な夫人です。


続けるうちに息子がいたとき以上にイキイキしてきてきました。生活はボランティア活動以外には、以前と何も変わっていないし、夫は相変わらず朴念仁のままです。


でも夫への不平不満はすっかり影をひそめ、今は「人生バラ色」と心の底から思っているそうです。


何かに打ち込んで寂しさむなしさを吹き飛ばす

S夫人のように何か打ち込めることを見つけると、雑念が頭の中でグルグルする時間が減少します。


すると心の健康が向上して、寂しさやむなしさが自然に消滅していきます。