安心立命 運を天に任せてみたら思わぬ結末に!
更新日:2021年3月13日
亡き父の 座右の銘は「安心立命」でした。その意味は「身を天命にまかせる。その際他に心を奪われず動じない」というようなことらしいのです。
私が子供のころはその意味を理解することはほとんどなく、大人になってからも「そんなの無理でしょ」という気持ちが強かったのを覚えています。
しかし後年 心理学 の勉強をして 心のケアの仕事をするようになり、この言葉に対する自分の気持ちが随分変わったことに気づきました。
安心立命を体現するのはとても難しいことです。でもこれを目指す気持ちで少しずつ練習をすれば、心の健康向上に大きくつながると考えるようになりました。
さらに身を天にまかせると、思いもよらぬ事態の好転も起こりうるということも見聞きしました。そしてある時私の安心立命に対する気持ちを裏付けるような出来事がありました。
それはある初夏のことでした。その時86歳の母は持病の発作が出て救急車で病院に担ぎ込まれました。
当時カリフォルニア州サンディエゴで仕事をしていた私も2週間の休みを取って帰国し、東京で仕事をしている妹も忙しい仕事の合間に、医師や看護師との連絡等いろいろと心を配っていました。
そんなある日担当医からこのように指示がありました。
「お母さんの病状を考えて、2日後から24時間体制でご家族が交代で付き添ってください」
その時ちょうど妹は繁忙期でとても仕事を休める余裕がありません。
でも私が24時間ずっと付き添うというのは、いくら何でも無理があります。
そこでヘルパーを雇い12時間ずつの交代制にして、妹が休みの日はシフトに加わってもらうことになりました。
実は当時の私は サンディエゴ市 での 心理カウンセリングクリニック 運営で多忙を極めており、残り10日ほどの東京滞在後は、帰った翌日からまたフルロードの予約をこなす予定でした。
そんな状態のところに24時間付き添いの話を聞いたのですから、正直自分の体が持つかどうか不安でした。
サンディエゴに帰った後で息切れしてしまうのではないかと思ったのです。
そこから2日間何度も心に浮かぶ不安に対して「無用な心配はなんの助けにもならない」と自分に言い聞かせ、泊まり込みの覚悟をして持っていくものを用意をしました。
そして泊まり込み開始当日のことです。あと5分で荷物を持って病院へ向かおうとしていたところ、医師から電話がかかってきました。
驚いたことにその医師は「当院の方針が変わり、ご家族にあまりにも負担のかかる24時間泊まり込みは、お願いしないことになりました。こちらの看護体制で何とかカバー出来ると思います」と言うではありませんか。
それを聞いて私が感じたのは泊まり込みを免れた喜びよりも、安心立命のへの道がかすかに見えた喜びでした。
私のしたことは泊まり込みをする覚悟をして、愚痴が出そうになる自分の心をなだめることでした。
たったこれだけ。
しかしそれが思いもよらぬ結果をもたらしました。
その時なんだか父から「安心立命うまく出来たね。良くやった」と褒められたような気がしたのでした。
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