親に傷つけられた子供たち
更新日:2021年3月1日
アメリカ人で親日家の友人から「日本は良いところがいっぱいあるけど、子供と犬にたして躾があんまりよくないね」と言われたことがありました。
それを聞いてなんだか後ろめたいような、ちょっと悲しい気持ちになったのを覚えています。
そのころのことです。ある日ロサンゼルスのリトル東京を歩いていると、すぐ近くで「あんたはホントにどうしていつもそんなにバカなの!」と大声で叫びなら、5-6歳の息子の体をバンバン叩く日本人の母親を見かけました。
それをみて何よりギョッとしたのは、カリフォルニアでは子供の体をたたくのは虐待とみなされるからです。もしそこで誰かに通報されたら、母親は逮捕されたでしょう。
子供が命にかかわるようなことをしでかしたような時に、おしりを1回ほど叩くスパンキングは例外とされていますが、それ以外は虐待なのです。
身なりの良いその母親は、カリフォルニアの法律をきっと知らなかったのだと思います。
数発叩いたあと怒りを体中からまき散らしながら、その男の子を引っ張って歩きさりました。
その時男の子の今にも泣きそうな腹を立てているような、赤くなった顔が長いこと忘れられませんでした。
体罰ももちろんですが、言葉の暴力も子供に与える影響は計り知れません。
この母親は躾と思ってこのような行動をとったのかもしれません。
しかし「いつもそんなにバカ」と公衆の面前で罵倒されたその男の子の心に与えたインパクトは、計り知れません。
心理カウンセリングの相談者には、次のような特徴を備えている人が多いのです。
出所不明の不安がしばしば自分を襲う
気持ちがグラグラする
自己肯定感が低い
自信がない
決められない
自分を責める
人の評価を気にしすぎる
考えすぎで人間関係を悪くする
人を信じるのが難しい
Noが言えない
意見が言えない
立ち直りや気持ちの切り替えがなかなかできない
そしてこのような相談者の多くが、「親が厳しかったから」とか「親同士が仲が悪くて喧嘩が絶えなかった」、「母親はあなたのためと言いながら、私を思い通りにしようとした」などと話します。
「あなたの現在抱えている問題は、子供のころに親から受けた、偏った躾が原因の一つですね」と私がいうと、相談者は初めは驚きながらも納得される場合がほとんどです。
親は悪意から偏った躾をしたわけではないと思います。
しかし 未熟な親、自分勝手な親、わがままな親、感情をまき散らす親、溺愛のみの親。
そんな親との交流の中で悩みながら成長し、解決できない問題をかかえた相談者が後を絶ちません。
しかし自分と向き合い自分を育て直す作業は、何歳からでも可能です。地道に自分を育て直す作業を続けると、心がゆったり安心して、すこし生きやすくなります。そして人生も少し楽しめるようになりますよ。
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