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​小さなミラクル通信

守秘義務尊重のため内容は著者の経験に基づいた創作です

笑顔脳トレで接客力アップ

執筆者の写真: 王丸典子王丸典子


夕子さんの悩みは、先日の人事異動でセールス部門に移ってから始まりました。以前は接客とは無縁の経理にいたのですが、会社の方針が変わり思ってもみなかった顧客対応に毎日追われるようになったのです。


 夕子さんの母親はおとなしい人でしたが、父親は言葉のきつい気の荒い人でした。そんな父親から「お前はダメだ」と言われ続けた夕子さんは、自信が全くありません。


  夕子さんが理想に思う接客とはどのようなものでしょう。


夕子 完璧な商品知識を持つのは当たり前ですが、それよりなにより顧客に好かれないと。


  顧客に好かれる人とはどのような人だと思いますか。


夕子 そうですね。明るく楽しい会話が出来て、相手を心地よくする人です。

 

このように話す夕子さんの声は消え入りそうで、自分は絶望的だと思っているような表情です。


笑い脳トレ

そこで何となく気持ちがどんよりしているある朝、微笑むことで自分の気分が本当に変わるかどうか、私も実験してみました。


「1・2・3・4」と頭で数えながら、口角をゆっくり上げ、「5・6・7・8」と数える間口角を上げた状態をキープ。そして8まで数え終えたら、口元をゆるめます。


これを二十回から三十回ほど繰り返すと、多少気持ちがリラックスしてくるのが感じられます。


夕子さん脳トレに挑む


そこで、

「夕子さん、良いセールスマンは笑顔が大切だとお話しましたね。少し練習してみましょうか。」と勧めて、私も行った口角を上げるエクササイズを説明した。


「難しくはありませんが…気持ちが全然ついてきませんけど。」

「気持ちはついてこなくても大丈夫。脳には本物と作り笑いの区別はつきません。このエクササイズの第一の目的は、夕子さんがまずリラックスすることです。少しできるようになったら、接客の前に職場のトイレで行うと良いですよ。」


真面目な夕子さんは信じられないながらも、一生懸命口角エクササイズに励み、大分自然な笑顔が板についてきました。


夕子さん会話法をマスター


「では今度は会話術の見直しをしましょうね。気の利いたことを言おうとすると緊張するので、それは忘れましょう。」

「えっ、じゃどうするんですか。」

夕子さんに伝えた会話上達法はとても簡単だ。ポイントは三つだけ。

  • 日ごろ練習している自然な笑顔

  • 相手の言うことをよく聞くだけでなく、自分の言葉で復唱する

例えば顧客が「かまどで炊いたご飯が好きで、かまど炊き機能の付いた炊飯器はどれですか。」と言えば、

「かまど炊き機能の付いた炊飯器をお探しですね。チョイスはいくつかありますので、お見せしましょう。色や他の機能はどのような物が良いでしょう。」と自分の言葉で復唱します。

仕事以外の会話だとしたら、「昨日突然ゲリラ豪雨が来た時、ちょうど外を歩いててずぶ濡れになっちゃったよ。」と相手が言えば、

「えーっ、あの時外にいたの。災難だったねぇ。それでどうしたの。」と復唱する。

  • 最後に短い質問を付けると一層効果的

「色や他の機能はどのような物が良いでしょう。」

「災難だったねぇ。それでどうしたの。」

このような質問を付け加えると、相手は自分の話を本当に聞いてくれていると思い、心地よくなるのです。

私たちは自分の話をよく聞いてくれたり、質問でより理解しようとする人に対して好意を抱きます。


なぜなら相手のそのような態度によって、知らぬ間に自己肯定感が向上するからです。


何か気の利いたことを言おうとばかり考えている人は、相手の言葉に注意を払えないので、復唱が上手くいきません。

するとギクシャクして空回りする会話に、すっかり疲れ果ててしまいます。


会話上手のポイントは、笑顔、復唱、質問、この三点だけです。これを心がけて、会話や社交に対する苦手意識が解消される人は結構あります。


そして夕子さんも

「それなら私にもできそうです。気の利いたことを言わなくて良いなんて、本当にほっとしました。いつもそれを気にして、くたびれ果てていましたから。」と少しほっとした様子でした。


このようなことを心掛けて半年、夕子さんの接客態度はずいぶん板についてきました。顧客の反応や上司の評価も、前とは比べ物にならないほど向上したようです。

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