​小さなミラクル通信

守秘義務尊重のため内容は著者の経験に基づいた創作です

祈りの科学:アメリカの医療現場


昔から「困った時の神頼み」と言われるように、日本人は窮地に立った時や望みをかなえてほしい時など、無意識に祈るという行為を行ってきたように思います。これは信仰心の有る無しに関わらず、多くの人が経験する自然な行為のようです。

自分のことを考えても、両親が宗教団体に属していたわけでも、生活の中に信仰があったわけでもありません。しかし子供の頃から何か大きなことにチャレンジする時や、家族が重い病気に罹った時などに、自然に「どうぞよろしくお願いします」と祈っていたのを思い出します。

いったい誰に向かって祈っていたのかと問われると、はっきりした答えは浮かびません。「」あるいは「」でしょうか。それとも「大いなる宇宙の力」でしょうか。いずれにしても祈りが出て来る時というのは、その前に自分で考え付く手は大体尽くしていて他に行える事は何も無いような場合か、思いもよらない緊急事態に遭遇した時が多いと思います。

アメリカ医療現場での祈り研究

アメリカではここ数十年「祈りの効果」について様々な研究が行われ、論文が発表されるようになりました。その内容として特に多いのが、祈りがどのように治癒力に影響を及ぼすかというものです。


もっとも知られている研究は1982年から83年にかけてランドルフ・バードサンフランシスコ・ジェネラル・ホスピタルで行った癌患者を対象にした研究です。バードの研究では癌病棟に入院中の患者393人をランダムに二つのグループに分け、Aグループの患者は通常の治療のみを受け、Bグループの患者は治療の他に祈りを加えるという試みでした。

この研究に参加したすべての患者、治療を担当した医師や看護師や、また患者の状態に関する情報集めをしたスタッフもこの研究が行われていることは知らされていませんでした。そしてBグループの患者に祈りをささげた人達は一度も患者に会うことなく、祈りは常に病院とは違う場所で行われました。

その結果Bグループの患者達はAグループに比べて心肺蘇生や人工呼吸を施した数が低く、また排尿促進剤、抗生物質の使用率も低いことが分かりました。さらに肺浮腫の発症率や死亡率もAグループに比べ低い結果が出ました。

1998年にはノース・カロライナのデューク大学付属病院で、65歳以上の患者4,000人を対象に、祈りと血圧の関係を調べる研究が行われました。この研究では患者自身の信仰心や祈りが、どのように血圧に影響を及ぼすかが測られました。

その結果信仰心が厚く、祈りや教会に行く回数の多い患者ほど血圧が望ましい数値を示すことがわかりました。この研究を行ったディビッド・ラーソンは、祈りが血圧を下げる効果が有るのは、信仰心が患者の心を平静に保ち不安感や緊張感を和らげる働きが有るからではないかと述べています。

カンザス・シティーの聖ルーク病院では、1999年にウイリアム・ハリスが1,000人の重篤な心臓病患者を対象に祈りの効果に関する研究を行いました。これは前出のバード研究を再現するような形でした。

患者はランダムに通常の治療のみを受けるAグループと、治療のほかに祈りを受けるBグループに分けられました。通常の治療に加えてBグループには四週間に渡り、神や祈りによる治癒力を信じている5人のクリスチャンが、やはり病院とは別の場所から「合併症を併発せず一刻も早い回復」の為の祈りを捧げました。この研究の結果ハリスは、祈りは通常の治療を補助する方法として有効であると結論しました。

しかしながら、これらの祈りと治癒力の関連性についての研究結果に対する批判も多くみられます。著名な無神論者のダン・ベイカーは祈りの研究結果の殆どはシュガー・ピル(偽薬)効果に寄るものだと述べています。

もう一つの批判はバードとハリスによる研究のような場合、祈りを受けない予定のグループの患者でも、患者自身が祈る場合や親族や友人などが祈る可能性も想定され、研究としての正確性が問われるものです。

細菌・バクテリアを対象に行われた祈り研究

このような批判に対し、祈りの効果について多くの研究結果の検証を行った医師のラリー・ドッシーは、人ではなく細菌やバクテリアを対象に行われた研究で、祈りの効果が指摘される結果が出た例を挙げて反論しています。

ドッシーの主張は、バクテリアや種は思考があるとは考えにくく、シュガー・ピル効果が当てはまるとは言えないというのです。またバクテリアや種が自ら祈ったり、他の種やバクテリアが祈りを捧げてくれる可能性は非常に低いと思われるので、やはり祈りには何らかの効果が有るはずだと述べています。

祈りの効果の是非が科学的にはっきりと証明されるには、まだ時間がかかるのかもしれません。しかし前出のディビッド・ラーソンが述べているように、祈りや信仰心により心の平安が向上し不安感や緊張感が減少するのであれば、祈りを有効な心の健康法として認識しても良いのではないかと思います。

★科学的メカニズムはまだ解明できませんが、祈りの効果は大きいようです

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プロフィール

米国・カリフォルニア・スクール・オブ・プロフェッショナル・サイコロジーで、心理学修士号及び心理学博士号取得。カリフォルニア州公認サイコロジスト。アメリカ心理学会正会員。アメリカ軍契約サイコロジスト。

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