生きがいとウツ症状
更新日:2023年7月1日
生きがいが明確であることは、健康生活にとても大きな影響を及ぼします。
グレッグ・ジャンツは著書 Moving Beyond Depression(ウツを超えて) の中で、「目的を持って生きることが、ウツから身を守る最も有効な方法だ」と述べています。
自分は誰からも大切に思われていないとか、自分は無意味な存在だと感じるほどつらいことはありません。
そしてこのような思いが高じて、ウツの症状が発症することは多々あります。
生きがいとウツと心臓病
また最近の研究結果によると、ウツ病患者が心臓疾患を患うことが他の人達にくらべて高いと報告されています。
ウツ病患者はなぜ心臓病を患う率が高いのでしょうか。
うつ病患者の特徴は抑鬱した悲しい気分、慢性的な疲労感から来るやる気のなさなどがありますが、このような症状から体を動かすことも億劫になり、食生活のバランスが崩れ、そして将来に対する希望を失います。
このような連鎖反応が起こりだすと、適切な治療を受けるのも億劫になり、ますますウツ症状を悪化させることになります。
ここで皆さんに是非知っていただきたいのは、ウツは「なまけ病」ではないということです。
アメリカは精神医学や心理学の分野が進んでいて、精神障害に対する理解を示す人が多いといわれていますが、中にはアメリカ人でもウツにかかる人は心が弱く怠け者だからと思う人があります。
ところが実際はウツは誰でもかかる可能性のある精神障害です。
またウツは適切な治療を根気よく続けることにより完治しうる病気です。
ウツ病患者がなぜ心臓病を患う率が高いかを研究しているモントリオール大学のレスペランス医師によると、慢性的な抑鬱感や疲労感を持つウツ患者の血液はどろどろとしていて固まりやすく、動脈に炎症を起こしやすい傾向があり、心臓発作を引き起こす原因となっていると指摘しています。
また自然に起こる心拍の変化は心臓を正常に保つ助けになりますが、ウツ病患者の心臓の鼓動は健康な人に比べ変化が乏しく、これも心臓疾患を引き起こす原因と考えられるそうです。
生きがいと他の疾患
アメリカ心理学会出版のジャーナルによると、生きがいを見出すことはウツだけではなく、他の精神疾患を防ぐことにもなると説明しています。
ここに紹介された研究では、アルコール中毒患者48人に対し数種の心理検査を行い、生きがいと精神疾患の関係性を調べました。
その結果、生きがいが明確であればあるほど、患者達の心的症状は軽いという結果が出ました。
また他の研究によると、高齢者が生きがいを明確に持っていると、死に対する恐怖が少なく、意識の中で自分自身の推定余命が長くなると報告しています。
★ぜひ生きがいを見つけて心身の健康を維持しましょう
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