• 王丸典子

成功脳づくり・ちょっと引いてみる



何かクリエーティブな事に取り組んでいる時、あなたの頭脳はフルに稼働します。


その過程は頭脳を駆使して情報を集めたり、企画したり貯蔵する能動的なプロセスと、心や頭を静めてそこから何が生まれるか見極める受動的なプロセスから成り立っています。


ここで少し難しいのが、心と頭を静める受動的プロセスです。これは何か難しいことを一生懸命時間に追われてやっている時に休めと言われるようなもので、少し受け入れがたいかもしれません。しかしこれが出来るとグーンとより良い創造につながります。


たとえば仕事の企画書作りに行き詰まりを感じて、なかなか先に進めないような時、地面に落ちる紅葉をぼんやりと眺めていると、画期的なひらめきが、どこからともなくポンと出てくるようなことがありせんか。


この「ぼんやり眺める」というのが創造力をフルに発揮するために重要な「ちょっと引いてみる」ことなのです。このことを心理学の授業で習った時は、私自身も受け入れがたいものがありました。「多分本当のことだろうけど、私には引いてみるゆとりはない。継続あるのみ!」と思ったのを覚えています。


ところがある経験が、この説が正しいことを証明してくれました。それはとてもよく晴れた土曜日でした。その日私は翌週に提出しなければいけない大学院の課題をいくつも抱えていて、心に余裕は全くありませんでした。


朝から奮闘していると、ある同級生から電話がかかってきました。その人はこれからサンディエゴ湾でセーリングをするから一緒に行こうと言うのです。私はとんでもないと思い、課題の量や、外国人だから時間が倍かかることや、一度出かけたら帰ってきたくなくなると思うなど、ありとあらゆる理由を並べ立てて断ろうとしました。


すると友人は「カモン、ノリコ。たったの2時間、これは一生に一度のチャンスかもしれないよ」と言うのです。普通はこんなことでは心変わりしないのですが、どうした訳かふと行ってみようかと言う気になりました。本当は現実逃避したかったのかもしれません。


サンディエゴ湾をセーリングする素晴らしさは、言葉では言い表せません。天はどこまでも高く青く澄んでいて、フワフワとした雲が薄くたなびいています。気温はほどよく、さわやかな風が頬にあたっています。


その日2時間のセーリングは心配性な私の焦る気持ちさえ、どこかに吹き飛ばしてしまいました。そして帰宅してからのプロジェクトの進み方は、自分でもびっくりするほどの速さでした。


「ちょっと引いてみる」というのは、実際にはどういうことなのでしょうか。何かを長時間一生懸命やっていると、次第に煮詰まってきます。すると直観力や判断力も低下します。そしてネガティブな思考パターンが躍動し始めます。


このネガティブ思考パターンこそが、私たちの成功の足を引っ張る最大の原因です。リサーチによると、現代人が一日に持つ思考全体の約8割が、ネガティブな事柄だといわれています。これには驚きですが、自分の頭にどんどん出て来る思考にフォーカスしてみると、ちょっと納得します。


つまり「ちょっと引く」ことで煮詰まった脳を休め、外の風景などながめてボーッとするとネガティブ思考も静まります。するとまた、あなたのクリエイティビティーが息を吹き返すのです。


大切なあなたのプロジェクトをネガティブまみれにせず、頭脳を有効に駆使するために「ちょっと引いてみる」ことを是非お勧めします。




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