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​小さなミラクル通信

守秘義務尊重のため内容は著者の経験に基づいた創作です

執筆者の写真王丸典子

小さな嘘は自分を傷つける



S代さんは人当たりの良いやさしい人柄で、職場においても有能で後輩たちからも慕われています。


しかし穏やかそうな外見とは裏腹に心の中では、常に他の人達の評価を気にしています。


本当はとても嫌なことでも、どう思われるかが気になるあまり、みんなが引き受けないような事まで率先して行います。


日常的にそのようなことが続き、最近では休みの日は疲れ果てて、寝ているだけで終わってしまうような状態です。


しかしこんな生活はどこかおかしいと思いながらも、S代さんはどこが変なのか全く分かりませんでした。


子供時代の経験が大きく影響

S代さんの両親はとても仲が悪く、子供時代は喧嘩の絶えない家庭でした。


そして父親は絶えずS代さんを否定するような言動で、今思い返してもつらい子供時代だったと思います。


三歳下の弟がいますが、弟をかわいがる父親の態度は明らかに違っていて、繊細でおとなしい性格だったS代さんは、親の顔色を見ながら成長していきました。


このような子供時代の影響はそのまま大人の生活にも反映して、人の顔色をうかがいながら汲々と生活しています。


本心が言えずウソをつく

そして何より本人が最近気にしているのが、本心を素直に言えないためにつくウソに関することです。


例えば先日も気の進まない夕食会に誘われ、しぶしぶ参加を承諾しました。しかし当日になると、やはりどうしても行く気になりません。


そこで病気ということにして、約束時間の二時間前に断りました。

とにかく朝から気が重くて、夕方まで悶々とした挙句のキャンセルです。


そのころには本当にひどい頭痛も起きて、その日一日が台無しになりました。


何より辛いのは、そんな自分に嫌気がさして、「私って信用できないヤツ」という思いです。


以前から社会の役に立ちたいとか、人としてきちんとしたいと思うような志の高いS代さんです。


ところが子供のころからの不安感によって、志と行動に大きな隔たりのあることを本人も認識して、最近とみにモヤモヤしています。


そしてS代さんはウソをついて他人を傷つけないようにすればするほど、自分自身を深く傷つけてしまうと次第に気づいていきました。


★他の人のことを思ってつく嘘は自分を深く傷つける



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