子育てに使えるアートセラピー
更新日:2021年3月6日
アートセラピーは様々な身体的また精神的疾患の患者を対象に行われますが、その中には学習障害者や末期患者、脳障害者なども含まれます。
心理カウンセリングにおいては、自分の感情を言語化するのが年齢的に難しい小さな子供や、深刻なトラウマから自分の経験を話すことにためらいのあるPTSD(心的外傷後ストレス障害)患者などが、アートワークを行うことで精神が安定します。
心の中にあるわだかまりを消化することにより、先に進むことが出来ますが、心に溜まっている感情やネガティブな経験を消化するのにアートセラピーはとても効果的があります。
その際媒体となるアートワークは、行う人の興味のあるものであれば、どのような種類でもかまいません。一般的に多く用いられるのは、色鉛筆や絵の具、クレヨンを使って絵を描いたり、雑誌や新聞の切り抜きを張り合わせるコラージュ作りや粘土細工、ビーズや毛糸などを用いるクラフトワークなどです。
アートセラピー科学研究
スタンフォード大学コリー教授によるPTSD症状を持つイラク、アフガニスタン帰還兵を対象にした研究では、アートセラピーを用いることで、治療が非常に困難な「回避」や「心的感覚の麻痺」といったPTSD症状に向上がみられたと報告しています。
またサウス・カロライナ州在住のアートセラピスト、テリー・ピファロの報告書は、性的虐待を受けた子供達を対象にアートセラピーと認知療法を同時に行う八週間の治療により、PTSD症状の緩和を導いたと述べています。
トレーニングの一環で私が参加したアートセラピーでは、等身大の大きな紙を壁に張り付け、一時間ほど他の参加者と話すことなく、黙々と紙に色をのせていくというものでした。
絵のテーマや色選びに何の規制も無く、ただひたすら自分の気に入った色を様々な太さの筆やローラーを使い表しました。当時の私は大学院の学生で、学業とインターンをこなすストレスの高い毎日を送っていましたが、このアートセラピーに参加したことにより、かなりストレス解消につながったと思っています。
一人でアートワークを行うことにより心の健康を図ることは、さほど難しいことではありません。その際心に留めることは、作品の出来栄えを気に掛けるのを避けることです。
クライアントにアートセラピーの効用をお話すると、よく聞くのが「私はアートセンスがないから」という言葉です。
しかしアートワークを行うこと自体に治癒力や精神安定を促す効果があるので、出来上がった作品はむしろさほど重要では無いといえます。
アートセラピーを子育てに取り入れる
三歳から八歳位の子供の様子がいつもと違うなと感じた時に、お母さんが一緒に子供とアートワークをすることで、子供の態度が改善されることがあります。
例えばなんとなく最近子供が元気がないとか、急に夜鳴きをするようになったような場合です。
そのような時は、一週間に一度位のペースで定期的に二十分程子供とお母さんが一緒に座り、絵を描いたり粘土細工をするのがよいでしょう。
お母さんが一緒に絵を描くのも良いですし、あるいは子供の色選びや描かれた絵について質問をしたりします。
一番重要なことは、定期的に行うということで、一回の時間は長い必要はありません。
そして絶対に避けたいのは、アートワークに関するアドバイスや批判です。
このように定期的に安心出来る空間で、自分を自由に表現出来る機会を持つことから、子供は気持ちの安定が得られます。
心に溜まっているものを整理し消化することで、心の健康が向上します。アートセラピーにはいろいろな理由から硬くなっている心をフワッと解く効果が有り、言葉に出来ない気持ちを整理、消化する助けになります。
アートセラピーを通して心がゆったりと伸びやかになり心の健康につながりますので、皆さんもどうぞ是非一度お試し下さい。
★アートセラピーを使ったカウンセリング記事は下記をクリックで
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