• 王丸典子

厄介な老人と付き合う法

最終更新: 2019年5月14日

40代の女性は自信が持てないのが悩みです。色々な理由が考えられますが、一つにはとても厳しくて口うるさいくて 厄介な父親 の影響がありました。子供のころから女性のすることなすことけなして、40歳を過ぎて独立した現在でも顔を合わせると批判の連続です。


以前から人間関係があまりうまくいかなかった父親は現在80歳、リタイア後活動範囲がますます狭くなり、家で一日中テレビを観ている毎日です。すると攻撃の矛先は一人娘の女性に集中し、女性は「父を変えたいのですが、何とかなりませんか」と、 心理カウンセリング に来て深いため息をつきます。


人間関係における決まり事

このような場合説得するような方法では、相手を変えることはほとんど不可能です。これが人間関係における不変の決まり事なのです。


なぜなら人は何かをしろといわれると、反対のことをしたがる習性があるからです。私自身もこれを納得するのはずいぶん時間がかかりましたが、特に若いころは何とか相手を変えようと七転八倒したものです。


もちろん例外はあります。相手があなたの言うことに耳を傾け、自分を変えていこうと前向きになれば変化は出て来るでしょう。


しかし自分が正しいと思い込んでいる人に対して説教してもまず聞いてもらえません。



このような場合は自分のアプローチを少し変えると、高い確率で相手に変化が現れます。そして時には劇的に変わる場合もあるのです。


レミニッセンス法(回想法)を使ってみる


高齢者に良くあるのは、すでに大きな役割を終えホッとすると同時に 自己肯定感 が低下する現象です。


特にこの父親のように我が強く、社会とのつながりが希薄な場合は本人も気づかないうちに自己肯定感、生きがいや、やりがいはかなり低下しているものと思われます。


若い時とは違い肉体的な衰えも少なからず感じていることでしょう。この父親の心理状態を理解した上で、気づかぬうちに父の自己価値感が上がることをうながして、女性への攻撃を減らすことをめざしました。


高齢大国を元気にするレミニッセンス療法」のように、父親に昔話をしてもらうよう仕向けました。その際禁句は「お父さんさっきそれ聞いたわよ」です。


老人は概して話を繰り返すものです。レミニッセンス法 を行う場合は、あたかも初めて聞いたように「へぇ~、そうだったの」や「それからどうなったの」など興味をもって話を聞きます。出来る限りの演技力を発揮して行ってみましょう。


他者肯定法を使ってみる

女性がレミニッセンスを父親に試みてから少し経ちました。当初「父は楽しそうに昔話をして、そうすると機嫌が良くなるので助かります」という感想だったのですが、その後またちょっと問題が生じました。


父親は昔話をしながら「俺がお前の齢にはこんな功績を上げていたのに、お前は情けない」と言うのです。女性は「これにはなんと答えて良いか分からず私は黙ってしまい、そこで昔話は中断です」と途方に暮れています。


これは父親が娘をけなす行為を通して、自己肯定感を上げようともがいている姿なので、一緒に父親の 自己肯定感が高まるようなことを言ってもらいました。


例えば「お父さんは大変だったんだね、私はまだまだ修行がたりないなぁ」とか「お父さんのように私も頑張らないとね」などです。これは父親の「自己肯定感が低い」という心理を良く理解すると、出来るようになる人が多いです。これは心理療法の一つ、「他社肯定法」からヒントを得ています。


レミニッセンスと他者肯定法を心掛けて一年以上たち、父親の女性に対する批判や攻撃は随分減少しました。


そしてこれが出来たことで女性の自己肯定感もまた向上しました。

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