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​小さなミラクル通信

守秘義務尊重のため内容は著者の経験に基づいた創作です

執筆者の写真王丸典子

不安の蟻地獄から脱出するには


三十八歳の専業主婦さやかさんは末っ子で、特に子供の頃は何をするのも時間がかかりました。


幼稚園に行き始めてすぐに先生から「さやかちゃんは何をするのも一番最後です。お家でももう少し早くできるように気をつけてあげてくださいね」

と言われるような子供でした。


そのころからさやかさんに対する母親の叱咤激励が始まりました。何しろ昭和生まれの母ですから、褒めることを知りません。


「さやか‼ グズグズしてちゃだめよ。早くしなさい」

「あんたはどうしてダメなのかしら」

「ま、ちょっと無理だと思うけどね」

「はっきりしないわね。シャキシャキしなさい」


毎日のようにこのような言葉が飛んでくるのですが、内気なさやかさんはオドオドするばかりで、母の激励は全く助けになりませんでした。


そして次第にお母さんの言葉や態度を深読みする癖がついていきました。

「こんなことしたらお母さんにドヤされるんじゃないか」

「お母さんはあー言ったけど、本当にうまくいくのかしら。だめだったらどうしよう」

「前お母さんが言ったことと今日言ったことは真逆だけど。なんでだろう」


恐くて直接母親に聞くことができず、常にこのような疑問が頭の中を行ったり来たりします。


大学入学と同時に上京して母から離れられて本当にホッとしたのですが、その頃までにはさやかさんの深読み癖は定着していました。そして何か不安なことがあると深読み癖はひどくなり、さやかさんは疲れ果ててしまいます。


そしてコロナ禍が始まりました。ただでさえ心配性なのに、毎日の生活の中で心配の種は倍増しています。


さやか 何かが気になりだすと、あーでもないこーでもないと考え続けてしまって、そこから抜け出すことができないんです。まるで蟻地獄にでも落ちたような感覚です。

   それはつらいことですね。考えることから多少得るものはありますか。

さやか 冷静に考えると、全くと言っていいほどありません。疲れるだけです。最近はコロナ感染が本当に心配で。考え始めると食品の買い物も行けませんし、テイクアウトなんて、どんな人がどんな場所で料理しているのかと思うと絶対無理です。

   コロナ禍でストレスを受けない人はいませんね。コロナに罹ることも気がかりですが、その前に気持ちが弱りすぎてしまうことも気になります。

さやか 私はそうなりつつあります。なんだかいつも気持ちがざわついていて、夜もよく眠れません。


思考の蟻地獄から脱出する方法

不安は野放しにするとモンスター化します。さやかさんは長いこと不安モンスターに人生を乗っ取られているような状態でした。


このような状態は、自律神経のバランスが崩れ、ストレスホルモンの過剰分泌、睡眠障害や胃腸障害など、心身ともにバランスが崩れます。


そこでさやかさんに次のような、心を落ち着ける方法を試すよう勧めました。


十分ほどゆっくり呼吸をする


 不安思考がでたらそれに気づいて、思考がムクムク広がらないように気をそらすため、何か別のことをする(例・手芸、楽器の演奏、運動など)

l 他のことができない場合は、輪ゴムやブレスレット時計など身に着けているものをクルクル二―三回まわす。こうすることで思考のスイッチをオフにできると自分に認識させる


 専門家にとっても未知のウィルスだから、いくら考えても答えは出ないと自分に言って聞かせる


 コロナ禍で自分にできることは何かをしっかり認識して行い、それ以上の心配はストップするよう心掛ける

さやかさんは思考の蟻地獄に陥りそうになった時には、最近ネットで買ったブルブルマシーンに乗りながら、大好きな嵐の歌を大声で歌うことにしました。


不安感をなくしたいと思う人の多くが、不安を全く感じないようになりたいと言います。しかしそれは多分無理な相談です。


たとえコロナ禍が収束しても、生きていれば不安を感じることが必ずあるでしょう。不安と上手く共存できる方法を身に着けて、心身のバランスを保つことが究極のゴールです。


心身のバランスは不安と共存できる方法を身に着けることで可能に




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